イルカ先生が、楽しく分かりやすく、海洋プラスチック問題について教えてくれます。
ちいさいこは、おとなのひとによんでもらってね!
イラスト:北本由希
先生:みんなは海の中でよく、ニンゲンの作ったペットボトルとか、ビニール袋とかを見るじゃろう。先生が子供だった頃、海でそういう物を見ることはこんなになかったんじゃよ。
イルくん:前はなかったんだね!ボク、子供の時からよく見てるから、海には前からそういうのがあるんだと思ってた!それはニンゲンが海にペットボトルとかビニール袋を捨ててるからなの?そんなことしないでほしいなぁ・・・
ルカちゃん:ママも先生と同じこと言ってた!昔はこんなに見なかったわ、って。
でも前に海で泳いでるニンゲンに出会ったけど、海にゴミを捨てたりするような悪い人には見えなかったわ・・・
先生:もちろんニンゲンにもいろんな人がいて、中にはポイ捨てをするような人もいるけれど、ちゃんとゴミを分けてリサイクルしている人もたくさんいるんじゃよ。
イルくん:じゃあなんで、海にはこんなにゴミが増えてきちゃったの・・・?
ニンゲンの作ったプラスチックは、リサイクルに出しても全部がもう一度プラスチックになるわけじゃないんじゃよ。
実は世界のプラスチックのうち、約90%はリサイクルされていないんじゃ。日本ではリサイクルされている割合が高いように見えるんだけれど、もう一度プラスチックになるのは20%ちょっと。あとは燃やして燃料にしたり、東南アジアに輸出したりしているんじゃよ。
では、ここでみんなにクイズを出そう。日本は年にどのぐらいの量のプラスチックゴミを輸出しているんじゃろう?
答えは・・・何と年に150トンじゃ。でも、日本人は1人あたり年に32キロもプラスチックゴミを出していて、これは世界第2位じゃから、それも仕方ないのかもしれないのう。
あまりにもたくさんありすぎるから、今までプラスチックゴミを引き受けてきた中国も「もう受けられない」と言って、輸入を断ることにしたんじゃよ。どの国でもリサイクルの方法に困っていて、行き場のなくなったプラスチックが海に流れてきてしまってるんじゃ。
さらに困るのは、プラスチックがなかなか分解されないことなんじゃ。だから、いつまでも海に残ってしまうんじゃのう・・・
海に入ってから分解されて無くなるまでに、自然のもの、例えば果物の皮だったら数ヶ月で済むんじゃ。でも、プラスチックでできたレジ袋やお菓子の袋は10〜30年、ペットボトルはなんと400年もかかるんじゃよ。だから海の中ではよくプラスチックを見かけるし、一度入ってしまうとなかなかなくならないんじゃ。
ニンゲンも頑張ってくれていて、分解されるプラスチックを考えたようなんじゃが、あれは海の中では分解しないんじゃよ。なんとも困ったのう・・・
心配なことに、プラスチックを間違えて食べてしまう仲間も出てきてしまったんじゃよ。
プラスチックの中でも特にレジ袋やポリ袋は、クラゲみたいな半透明の生き物によく似ているから、特にクラゲが大好物のカメはよく間違って食べてしまうんじゃ。地球上のウミガメの半分が、プラスチックを飲み込んでしまっているという調査結果もあるんじゃよ。
それとジンベエザメやヒゲクジラみたいにエサを水ごと飲み込むような生き物は、水ごとゴミまで飲み込んでしまうこともあるんじゃ。みんなも、気をつけるんじゃよ。
プラスチックは時間がたつと砕けて、小さなマイクロプラスチックになる。これがまたやっかいなんじゃ・・・
何十年、何百年とたてばプラスチックは分解されて小さくなっていくけれど、形が見えなくなっても小さな小さなマイクロプラスチックとなって、まだまだ海に残るんじゃ。すごく小さいから、魚たちの口に勝手に入ってきてしまうんじゃよ。だから私たちイルカの食べている魚にも、プラスチックが入っていないか心配じゃ・・・
ニンゲンも魚を食べるそうだから自分たちの口に入ってしまってもおかしくないはずなんじゃけれど、ニンゲンはどうしてるんじゃろう・・・?
ルカちゃん:私がこのまえ会ったニンゲンさんも、海にゴミが来ちゃってるって知らなかっただけなのかも・・・私、お話ししてみる!やさしそうだったから、きっと考えてくれるわ!
イルくん:海がもっともっときれいに戻ったら、ボクとってもうれしいな!
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